歌姫はギタリストに恋をした゚*。㊦
「カレーおいしかったね〜」

「だろ?俺の腕がいいからだ…」


自慢げに話す慶。




カレーを上手にできたことが、よっぽど嬉しかったみたい…









「将来・・カレー屋にでもなっかな…」

「はい?」



カレー屋!?





「将来って……慶の夢はギタリストじゃなかったの?」

「…俺の夢はギタリストだよ。でも、もう叶っちまってるし・・・」


慶は天井をぼーっと見ながら言った。





「そりぁ‥ギターはずっと弾いていたい。できればよぼよぼのじいさんになるまで…だけど・・・もうひとつ…なんか夢持ちてーよな。せっかくお前と出会えたわけだし…」






慶はクルッと私の方に首を向け、優しく微笑んだ。










「将来・・・お前がもう声が出ねーくらい歌歌って…歌うのに疲れて・・・俺もギターが弾けねーくらい指がシワシワになったら……」


慶は一瞬間を置いてタバコを吸い、灰皿にトンと灰を落とした。

そして、ゆっくりと口を開く…
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