歌姫はギタリストに恋をした゚*。㊦
散々ふたりで泣いたあと…沙知絵さんは氷が入った小さい袋をくれて、ふたりで泣いて腫れた目を冷やして、慶のことをたくさん話した。


沙知絵さんは、慶のことをたくさん教えてくれた。




この家は慶が買ってくれたとか…


毎年お正月には、慶から銀座の有名なお店のおせちが届くとか…


月に一回くらいは、慶から電話がかかってくるとか…





私の全然知らないところで、慶はちゃんと親孝行していた。


それがまたかっこいいと思った。







しばらく目を冷やしてから、沙知絵さんとふたりで健二たちがいる一階へ戻った。

健二や紅、旦那さんは私と沙知絵さんのことをものすごく心配していて、



“ずっと上で何やってたんだ?”

…って、旦那さんが聞くと沙知絵さんは…






“秘密よ”


と答え、私の方を見てクスッと笑った。







慶のこと…少しはわかった気がする・・・


硬直していた心が、緩んで柔らかい気持ちになった。




慶が入院してから、こんな気持ちになったのは初めてだった。
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