レモン色
新学期がはじまって1週間が経ったころ、私は数学の質問に森山先生のところへ行っていた。

「ねえ、先生ー」
私は甘えるように森山先生に寄り掛かって言った。
2人っきりの時だけは、先生と生徒の境界線のほんとギリギリまでいく。
私はそれで、森山先生への大好きを保っていた。

「んー?」
「私、先生にバレンタインあげていい?」

さっきまで機会的に私に数学を教え、当然のように肩を貸していた森山先生。
そんなロボットのようだった先生に、魂が入った。

「ほんとに!?」
嬉しそうに私の目の前に顔を向ける。

私はそれに答えて、頷く。

「いい、いいよ!」
私の腕をぶんぶん振りながら笑った。
「本当にうれしい」
‥‥その笑顔見れて私が嬉しいよ。
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