レモン色
「にひひ‥」
顔から笑顔がこぼれる。
先生、ごめんね?

手をあげた先生に殴られると思い、身を縮める。
下りてきた手は私の頬を優しくつねった。
少し肩が震える。
‥すき。

「遅刻届け出せよ」
先生はそう言って歩いて行った。
遠くのほうで秀くんが怒られている。

先生‥ずるいよ。
私に優しくしちゃだめだよ。
先生の触れたところはいつも熱い。
頬があつい。
先生の手はあったかい。
だいすきな大きな手。

‥‥さあ、掃除しよう。
どきどきする胸を押さえて黒板を消す。
6限が理科だったため黒板の上まで書いてある。
しかたない、先生を待とう。

「ごめん、ごめん」
先生がやってくる。
教壇の下にたっている先生は上にいる私より大きい。
< 7 / 19 >

この作品をシェア

pagetop