恋愛契約-私とアイツの関係-
「自己紹介、お願いします。」
20代前半だろうか。
メガネを右手で上げ、
肩より少し長めの髪を揺らし、ニコッと微笑んだ。
私もニコッと微笑み、立ち上がる。
「はじめまして。
城嶋妃芽です。
個人的な事情によりこの学校に転校してきました。
よければ友達になってください。」
ごく一般的な挨拶。
皆の視線を感じる。
でも私は笑顔を絶やさなかった。
席に戻ろうとした、その時。
1人の男子が立ち上がり、私と凌雅を見ながらこう言った。
「城嶋さんと東宮って婚約してるって本当?」
その質問に皆が一気に注目する。
…言って、いいのだろうか。
悩み凌雅の方を見ると、不機嫌そうな顔を一瞬見せたがすぐに笑顔に変わり立ち上がった。