手の届く距離で
案の定、しばらくするとそのコはまた話し掛けて来た。

「何時に終わるかまだ分からなぃ?だったら終わったらこれに電話して!」

電話番号のメモ書きを手渡された。

「カラオケとか行く?」


「いや、あまり行かないです…。」


「じゃあどこがいい?私はどこでもいいよ?」
「ホテルでもいいよ?」
「好きにしていいから。」
「もしかして童貞?かわいいから私が教えてあげるよ。」

恥ずかしがる様子も無く笑顔のままそう言った。

ア然とした。


・・・何を言ってるんだこのコは・・・。
下品なコだと感じ、まともに話す気も失せてしまった。


別にHをしたく無かった訳では無いが、相手から言われると冷めるらしい・・・。


「ちょっと今日はムリなんでまた今度・・・。」


そう言ってオレは店の奥に引っ込んだ。


その後、バイト終わりの時間になったので、同じホールのおばちゃんに頼み、店の外にあのコが居ないか見て来てもらった。

「まだ外に待ってるよ!」

「暇なんですね・・・」


オレは裏口からこっそり帰ることにした。
見つかったら面倒くさい…。


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