手の届く距離で
「スーーーーーーーッ」
坂道を軽快に下って平地に入った時に千恵が言った。
「気持ちいいね〜!」
「私も自転車で来てみようかなぁ…。」
オレは嬉しかった。
「来てみなよ。以外と近いよ。」
「いや、きっと一回でいいって思うよ!(笑」
「私、純くんみたいに元気無いもん。(笑」
「でもみんなは千恵はいつも元気だぁって思ってるよ?」
「だから毎日頑張ってるんだもん。」
オレは、最近になってようやくこの「頑張ってる。」の意味が分かる様になってきていた。
そして、千恵の中に寂しさの様な「何か」があることも。
だけど、それがどこから来ている何なのかなんてその時は考えもしなかった。