手の届く距離で
きっと、誰かが言った様に、由紀はいいコだったんだと思う。



オレに対していつも素直に「好き」を表してくれた。



なにかというと、手の込んだプレゼント。



いつも顔を真っ赤にしてた。



オレはと言えば、

照れくさかったのか、

冷たかったのか、


どちらにしても、オレかは話し掛けることは一度も無かった。



だから、
「いいコだった。」

と言い切れるほど、
彼女のことを知らないまま時だけが過ぎた。



そして、中3になった春、お互いに「サヨナラ」だけ告げた。


付き合い始めた時に交換した制服のネクタイだけが記憶に残った。


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