手の届く距離で

「ただいまぁ…。」


「遅かったじゃ無いの?今日バイトだったの?」


「ちがう。今日はバンドのMTG。」


「MTGってなによ?(笑」

母親は明らかにバカにした感じだったので無視して素通りした。


当然だがいつも通りの母親だ。


「千恵ちゃんも居たの?」


「いないよ。」


「なんでよ?バンドに入れてあげなさいよ。」


「なんでだよ!(笑」


こんな意味の分からない質問で、一瞬だけ気が晴れた気がしたが、やっぱり心はスカスカのままだった。


そう、スカスカだった・・・


ふぃに1組で楽しそうに騒いでる「千恵」と「青木」の姿が浮かんで来た…。


「・・・!!?」
すぐに頭の中で掻き消した。


「ゥアア〜〜〜〜!!!?」



浮かんでは消し・・・。


何度も何度も。


それを朝方まで繰り返していた。



< 50 / 53 >

この作品をシェア

pagetop