手の届く距離で
「ただいまぁ…。」
「遅かったじゃ無いの?今日バイトだったの?」
「ちがう。今日はバンドのMTG。」
「MTGってなによ?(笑」
母親は明らかにバカにした感じだったので無視して素通りした。
当然だがいつも通りの母親だ。
「千恵ちゃんも居たの?」
「いないよ。」
「なんでよ?バンドに入れてあげなさいよ。」
「なんでだよ!(笑」
こんな意味の分からない質問で、一瞬だけ気が晴れた気がしたが、やっぱり心はスカスカのままだった。
そう、スカスカだった・・・
ふぃに1組で楽しそうに騒いでる「千恵」と「青木」の姿が浮かんで来た…。
「・・・!!?」
すぐに頭の中で掻き消した。
「ゥアア〜〜〜〜!!!?」
浮かんでは消し・・・。
何度も何度も。
それを朝方まで繰り返していた。