手の届く距離で

第2節.涙の理由

「純くん、今日バイト?」

めずらしく千恵が3組の教室に入って来た。


「いや、今日は休みだよ。」
「なんで?」



「今日、夜ちょっと会って話せ無いかなぁって思って…。」
「空いてる?」



「・・・。」


いい予感はしなかった。



「大丈夫だよ。」
「何時くらい?」


「じゃあ19時位にウチの近くに行くね?」



「えっ?ウチの?」
「別にウチの近くでじゃ無くていいよ。」



「千恵のウチの近くでいいよ。」


「近くに公園あったじゃん!」


「えっ、いいよ。」
「私が誘ってるんだし。」



「いや、そういうことじゃ無いよね?」

「オレだって会いたいんだから!」



こんなセリフ、面と向かって言ったこと無かった。


「・・・そうだね。」

「じゃあ中間ね。」



「そうするといつもの公園かな。」



「うん。そうしよう。」
「ごめんね…。」



この場は一旦わかれた。


「何がごめんね??」
「オレを誘ったから?」


やはりそういうことだろうか…。


帰り道、何も考えずにはいられなかった。


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