秋空
僕は少し驚いた。

何に驚いたかと言うと、汗の量が異様に多い。

1試合やっているので汗を掻いていることは当たり前なのだが、その量が多すぎる。

長引いたとは言っても、タイブレイクまで行ったわけではないので試合時間はそれほど長くはないはずなのに、まるで1時間練習し続けたような感じになっている。

見た目から判断できるほどにしっかりと見える。

ウェアが汗でぴたっとなっている(結局見てる)。

もしかしての体調が悪いのかもしれないと思って声をかける。

「愛花、体調悪くないか。」

僕の突然の呼びかけに少し驚きつつもこたえる。

「あっ、祥。応援してくれてたんだ、ありがと。てゆーか、いかなり何。体調は別に悪くないよ。」

「そうだよな。悪いね変なこと訊いて。」

その言葉は予想できた。

朝の練習では変わった様子もなかったので、体調のせいではないと思っていた。

だが、しかしそれでは何なのだろうか。

かなり気になってはいたが、愛花が待機場所に戻っていったので深く詮索はせずについて行った。
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