秋空
僕達が控え場所に戻ると、慎也とひろみの二人だけが残っていた。

僕は驚いてたずねる。

「他の部員たちはどこ行ったんだ。」

慎也はさらっと答える。

「んー、長くなりそうだったんで、先に解散させといた。案の定長かったしな。」

慎也は笑いながら答えている。

「それで、愛花は大丈夫ですか。」

ひろみが心配を隠しきれずに訊いた。

「うん。心配かけたみたいだけどもう大丈夫。」

愛花が元気な声で答える。

「それにしてもよく待ってたな。」

僕は感心の言葉を贈る。

「そんなの当たり前じゃん。俺たち4人は仲間だぜ。」

慎也の言葉を聞き、
僕は慎也に、
愛花はひろみにそれぞれ、

「ありがとう。」

と告げて、僕たちは帰路についた。

帰り際四人で、

「明日のダブルスも頑張ろう。」

と、みんなで掛け合って明日への気持ちを確認した。

家に帰って、布団の上で横になって今日という日を振り返ってみる。

しかし頭に残っているのは愛花の事ばかりだった。

僕はやっと、福井愛花を理解できたと思う。

そして、あのとき感じた胸の高鳴りは何だったのだろか。

女の子に捕まれていて、緊張していたのだろうか。
それとも、僕は愛花の事が・・・

考えている内に僕は寝てしまっていた。

その日の夢はとてもいい夢だったとような気がする。
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