秋空
まだ試合の練習だというのに、肌がピリピリするようなこと緊張感がコートと周りを埋めている。

[試しうちやめ。]

ボールが慎也に渡される。

二人はお互い対角線上に向かい合った。

[ワンセットマッチプレイ。]

審判の声と同時に、慎也がボールを上げてラケットを一振りする。

スピードボールが相手に向かって飛んでいく。

しかし相手も決勝に上がってくるぐらいの強者。

パワーサーブぐらい難なく打ち返す。

しかし打ち合いこそが慎也の得意分野だ。

多少コースは荒くても力押しのスピードに相手は追いつけず、ポイントを決められてしまう。

[相手が攻める前に決める。これが俺のテニスだ。]

と自慢げにはなしていたことがあった。

まさにこの試合は言葉どうりだった。

慎也は相手を圧倒的な攻撃力で撃破して。優勝をつかんだのだった。

「どうだ優勝だぜ。」

慎也はひろみに優勝カップを見せて笑顔ではなしている。

「おめでとうございます。」

「どうよ惚れ直しただろ。」

「もともと惚れていません。」

「うーん、厳しい。」

慎也の想いが実ることはあるのだろうか。

僕はそんなことを考えながら、

愛花はクスクス笑いながら二人のやりとりを見ていた。

新人戦二日目が終了した。
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