秋空
「あー、かったりいな。」

慎也が昼休みに文句を言っている。

「なんで三日目の試合が早く終わったからって、昼から学校来なきゃなんねーんだよ。最悪だぜ。」

慎也の言う通り、今日は新人戦の三日目だった。

本当なら休みのはずだったのだが、試合が昼前に終わってしまったので先生が、

「車で送ってやるから、学校行くぞ。」

などと言い出したので、仕方なく僕たちはしぶしぶ学校にきたのだった。

慎也が文句を続ける。

「全く、優勝して一番多く試合してきたんだから、休ませろってんだよセンコーどもめ。なぁ、文句言って来ないか祥。」

「絶対嫌だ。」

僕は力一杯否定した。

話からわかるように、今日の結果は僕と慎也のペアが優勝。

そして、愛花とひろみのペアはベスト4に入った。

僕たちはほぼストレート勝ちで試合時間があんまりかからなかったのと、いつも遅いはずの女子が、棄権したりして試合数自体が少なかったりで予想より早く終わってしまったのでご覧の通り、学校にきているのだった。

「じゃあ愛花かひろみはどう。一緒に文句言いに。」

「そんな地雷踏むようなまねしたくない。」

「やっても無駄ですからやめなさい。」

二人ともきっぱりと断る。

「じゃあ、こんなことになってムカツかない。」

慎也もなかなか引き下がろうとしない。

「勉強は学生の本文ですから、文句を言うことが間違っています。」

「うぅぅ。」

ひろみの当たり前な正論に言い返す言葉を思いつかない慎也はうなり声をあげて黙ってしまった。

「ははははは。」

「ふふふふふ。」

僕と愛花はこのいつものやりとりを見て笑った。

久しぶりの気の抜けた時間。

(最近はいろいろあったけどこんなことは変わらないんだなぁ。)

と感じていた。


確実に変わっていく激動の二学期は続く。
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