秋空
(ウーン、なんだか騒がしいな。)

何かの音が聞こえている。

(なんだろう。)

俺はその何かを確認しようと目を開けようとする。

しかしまぶたが重くて目が開かない。

[だい・・・ぶ・・・て。]

誰かがしゃべりかけているようだ。

聞き覚えがある。

[だいじ・・ぶ・お・て]。

その声がだんだんはっきりしてくる。

[大丈夫、起きて。]

でもまぶたが重い。

ボーっとする意識のなかそう反論する。

しかし反論している間に、まぶたは少しずつ軽くなっていった。

「起きてよ。ねぇ、慎也。」

その声に導かれるようにまぶたはどんどん軽くなり俺の目も開いていった。

ばちっ

俺は目を覚ました。しかしまだ頭はボーっとしている。

「起きた・・私が誰だかわかる。」

重い頭をずらして、声がする方に頭を向ける。

目の前には涙を流して、ジッと俺を見てへたり込んでいる少女がいる。

頭がやっと回り始めた。
俺はゆっくりと前に座り込んでいる少女の名前を口にする。

「ひ・・ろ・み。」

名前を口にすると、少女の目からはよりいっそうの涙が溢れ出た。
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