秋空
少女の涙が流れ、俺の手に落ちる。

ピシャ

と、はじく感触に我に帰った俺は、バッと体を起こす。

ズキッ

ビリッ

ミシィ

いろんな部分の痛みが同時に襲って、思わずからだを倒す。

隣から優しい声が聞こえる。

「まだ集まるまで五十分あるからもう少し横になってなよ。」

さっきまで泣き崩した顔を強引にビシッと引き締めた頬にはまだ涙が伝っている。

泣き顔を見られることが恥ずかしいのか、そっぽを向いていて横顔しか見えない。

いつもの厳しく冷たい声が、
優しく温かい声になっているような気がする。

「ありがと。」

軽い挨拶のようにお礼を言う。

「ううん、こちらこそありがとう。」

しばらくの沈黙が続いた。
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