秋空
そして、俺はそのまま病院に連れて行かれた。

まだ試合があるひろみと愛花は会場に残って、祥は先生と一緒に病院まで付き添ってくれた。

医師の診断は、二週間の運動禁止とのことで大会が終わるまでは、車椅子で移動することを制約させられた。

俺達は、先生の車で旅館に直行した。

先生はまだ会場で運営の仕事があるらしく会場に戻っていった。

本当は祥もは戻ることができたのだが、一緒に残ってくれた。

とりあえず、部屋に戻ろうとする。

祥に後ろを押してもらう。

(なんだか情けないな〜。)

ちょっとへこんだ。

「明日どうするんだ。」

祥が訊いてきた。

「会場に行くよ。」

「それで。」

そう言って僕が座っている車いすを指さす。

「当たり前だろ。仲間がでるんだから、格好なんて関係ねぇ。」

「そういうと思ってたけど。改めて本人に言われるとやっぱ嬉しいな。」

祥はそう言ってクスクス笑う。

長い沈黙か続く。

なにもすることがない。

ただただテレビを見るくらいしかやることがない。

さらに待つと、

ガラッ

と音がしてふすまが開く。

入ってきたのは、ひろみと愛花の二人。

試合が終わったのかと訊くと

「うん、負けてしまいましたけど。」

そんな質問には上の空でひろみは、足ばかりを気にしているようだった。

祥と愛花は顔を見合わせて二人同時に立ち上がり、

「売店言ってくる。」

と、一言だけ残して部屋を出ていった。

二人だけになった部屋。

そして、今、部屋から出て行った二人のアシスト。

(言うなら今しかない。)

そう決心した。
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