秋空
ひろみは少し頭を下げる。

「最近のことだし忘れてる訳ないよな。忘れたいかもしれないけれど。」

ひろみはさらに頭を下にする。

「あのときは、ミス一年生に選ばれた後でねたんでいたやつみんなでひろみをイジメていたんだろ。俺が知っている人数以上の奴らから物取られたり、たたかれたりしていたと思う。異変に気づいてその現場を見た。なにをされてもやり返さずじっと耐えているひろみを見たらますます母親を思い出した。そして俺は助けに入ってそいつらを追い払った。そして後ろを振り向くと、お前はボロボロ泣き始めた。俺にしがみついて、[怖かった]・[苦しかった]て言っている姿見て俺は我に返ったよ。死んだ母親だから好きになった訳じゃない。福島ひろみを好きになったんだと。」

ひろみの顔がどんどん赤くなっていく。

「その時から俺はひろみを守っていこうと決めたんだ。だから、この怪我は俺が母親から自立して、やっと人を守るくらい成長した証だと思ってる。だから、[悪いことしたから]とか情けを掛けずに本当の気持ちを教えてほしい。」

俺の初めての告白が終わった。
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