秋空
ひろみの言葉が体にしみこんでくる。

なぜひろみが理解に時間がかかったかがわかる。

夢のように感じてしまうからだ。

僕は車いすから降りて、立て膝をつく。

そしてぎゅっと小さな体を抱きしめる。

そしてしばらく見つめ合う。

「目、閉じてくれ。」
ベタかもしれないけど、なにをするか一番ちばん伝わるであろうその言葉を口にする。

ひろみが目線をそらす。

顔全体が真っ赤になる。

俺の顔も赤くなっていたのだろう。

少し考えて、目線を戻したひろみの顔がほころんでいる。

そのまま目を閉じたひろみに俺の顔を近づけていく。

付くか付かないかの距離で、一度止まる。

告白した時よりも恥ずかしい。

心臓がパンパンに膨らんで苦しい。

大きく息を吸い、止め、覚悟を決める。

チュ

存在しないと思っていた擬音が聴こえる。

わずか数秒でくちを話す。

ひろみは、そのまま部屋を後にした。

俺はキスの余韻に浸ってそのまま眠りについた。
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