秋空

明かされる過去

*ここからは祥の目線に戻ります。

「は〜。」

朝一番からため息をつく。

昨日慎也達がなにをしたのかは知らないが、どんな関係になったかは、朝から続く慎也のうかれっぷりで何となく理解できる。

「人を好きになるって良いことだな〜。」

とか、

「両想いってどんなんだと思う。」

とか、何だか自慢しているように聞こえる。

(まぁ、どうでもいいや。)

と思ってさらりと受け流す。

ひろみの言動はいつもと変わらないのにこのバカは・・と思いながら、車に揺られて会場に向かっている。

今日はシングルスだ。

でも相手は俺より格上の人たちばかりなので早く終わりそうだ。

今日は、僕とひろみしか出場しない。

いつもなら、男女に別れるはずなのに、しょうがないとは思っていたけど、慎也とひろみはべったりだった。

いつもと変わらないと思っていたひろみが、自分から慎也の車いすを引き始めた。

(やっぱりそうか。)
と、確信してい二人を見送っていた。
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