秋空
「はぁーあ。」

(なに緊張してんだよ自分。)

(もしかしていい感じなのかな。)

自分の根拠のない推測をかき消しながら、通路を歩く。

本部にいる先生いを捕まえてこれからどうするか訊くと、

「これで先に旅館に戻れ。」

と、五千円札を僕に渡した。

(いい加減な人だな。)

と思いながら来た道を戻っていると、

「祥くん。」

後ろから女の子の声がする。

そっと振り向き、その姿を見る。

僕の体は氷ついた。

「お、お前は・・・」







「ねぇ、祥、遅くない。」

愛花が腕時計を見ながら他の二人に訊く。

「そう言えば遅いな。探しに行くか。」

三人でトコトコと歩いて行く、

ひろみが僕を見つけた。

「あそこの二人組の男の子がそうじゃありませんか。」

ひろみが指を指す方向を全員で見る。

そこは使っていないコートのバックネットに寄りかかっている、男女がいた。

「あっ、あれだ。でも隣の女の子は誰だろう。慎也知って・・・」

愛花が口を閉じる。

「あいつは・・・」

そこには、いつもおちゃらけて、笑ってばかりいる慎也がいない。

代わりに同じ背格好をし、険しい顔で怒りの表情をあらわにするヤクザのような人がたっていた。

「なんで、あいつが・・・高木 里穂(たかぎ りほ)がいるんだ。」
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