秋空
「そうせかすなよ。今から話すから。」

慎也は愛花をなだめる。

「そのことがあった次の日、里穂はいきなり祥に告白したんだよ。あの時は男はまだまだ子供だから、なんだかよくわからなかったみたいで、断るのも悪いから、OKしちゃったわけだ。」

「なにやってんのよ。もう。」

愛花があきれる。

「でも今までの話を聞く限り、別に変なことはないと思います。」

久々にひろみが口を開く。

「確かに、そっから里穂の転校の話が決まるまでのあいだは、なんにもなかった。何かあったのは、別れた後から、転校するときまで奇妙なことが起きたんだ。」

「奇妙なこと。」

愛花が首を傾げる。

「あぁ、例えばだ、今と違って社交的と言うか、チャラいやつと言うか、今からは考えられないくらい、祥は、いろんな人と話しまくってたんだけど、別れた次の日から、祥と話した女子が次の日学校に来ると、筆箱とか、教科書、靴、体操服などが無くなりだした。さらに、祥をからかったりした男子が、次の日、中学生に絡まれたりしたんて、殴られたりもした。で、その犯人は、」

「高木里穂だった。」

愛花が答える。

「あぁ、俺たちはそう思っていた。でも、」

「でも、なんですか。」

ひろみが尋ねる。
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