秋空
今日はただ帰るだけの日だ。

帰りの車内は重い感じがでていた。

僕以外の三人は里穂が転校してくることを知らなかったので、今日の朝言った。

「次はしっぽつかんでやるぜ。」

やる気に満ちる慎也。

「一波乱ありそうですわね。」

ひろみは冷静に判断する。

「でも、今回は私たちがいるから心配しないでね。」

僕の肩をポンと叩きながら、愛花が言う。

「ありがとう。もう、あいつの思いどうりになって、あんな思いするのは嫌だからな。」

車はゆっくりゆっくり進んでいく。

見えもしない嵐が僕には見える。

でも逃げるわけにはいかない。

絶対に失いたくない仲間がいるから。
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