秋空
この前の練習は、金曜日だったので、今日は週明けの月曜日。

合唱コンクールまで後五日。

慎也は足の怪我の具合を見てもらうために病院へ行くので遅れるらしく、今日は一人で学校に向かっている。

「はぁ、なんか寂しい。」

一人はなにもすることがない。

どれだけ話しても、独り言になる。

そのままトボトボと後半分ぐらいまでになったときに、横から、

「わぁ。」

誰かが抱きついてくる。

思わず、

「ひゃあ。」

と悲鳴を上げる。

「おっはよー。」

そこにいたのは、

「里穂。なんで、」

驚く僕に、

「私、昔と同じうちに住んでるんだ。」

「そうなんだ。」

突き放すわけにもいかずに、しょうがなく一緒に学校へ向けて歩く。

チラッと横を見る。

そこには中学生とは思えないような美人が俺の横を歩く。

愛花とは別の意味で緊張する。

「ちょっと、今、胸見てたでしょ。」

里穂が僕に顔を向け頬を膨らませる。

「いや、見てないよ。」

「うっそー見てたでしょ。」

確かに見てないと言えば嘘になる。

顔、スタイルどちらもすごいのだが、その中でも特にすごいのは、もはや大人ぐらいある大きな胸だった。

昔はかわいいだけだったが、今は色気まで身につけているようだった。

「まぁいいわ。」

また歩き出す。

学校に着いて、階段を上る。

いままで気にしていなかったが、スカートが異様に短い。

さっきもボタンをはずしていた。

(この女は・・僕の気持ちはそんなことで揺らがないよ。)

なんて思っていても僕も男。

我慢できずに見てしまう。

教室に入り、イスに座る。

「朝から疲れた。」

そう言って横を見ると、愛花が暗い顔をしている。

「どうかしたか。」

僕が訪ねると、泣きそうな顔の愛花が僕に訴える。

「ひろみが今日から学校行くときは別々に行きたいって言ってきたの。」

「なんでそんなことをしたいんだろう。」

「わかんない。」

僕は立ち上がり、ひろみの席に向かった。
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