秋空
「一緒に学校行かないってどうゆうことだ。」

ひろみの机にに手をついて訊く。

「別に理由はありません。」

ひろみは淡々と答える。

「そんな嘘が通じる訳ないだろ。」

僕が返答を待っていると、先生が入ってきた。

僕は渋々席に戻った。

やっぱりおかしい。

いきなり一緒に行かないなんてどう考えても普通じゃない。

何か原因があるはずだけど。

考えれば考えるほどわからなくなったので僕は考えるのをやめた。

「よう、皆の衆。」

相変わらず変なことを言いながら慎也が教室に入ってきた。

僕がひろみのことについて訊こうと思って近づいて行くと、まるで避けるように、ひろみのところに行き、二人で話し出した。

「おい慎也。」

割って入ろうとすると、

「悪いまた後でいいか。」

と言われてしまって、話すことすらできなかった。

その後も二人にごまかされて、僕も愛花も話すことすらできなかった。

「いったい何なんだよあの二人。」

僕はいつものようにおたよりを作りながら、イラついた声で愛花に訊く。

「うん、なんか寂しいね。」

今日は無言のままひたすら文字を書き続けていた。

何かしていないと不安な気持ちになってしまうからだ。

黙々とやったかいあって、いつもの半分の時間で終わった。

「はぁ〜。まさか里穂の奴がなんかしたのかな。」

僕が一番考えられる原因を口にする。

「でも、あの二人がいいなりになるなんて考えられないよ。」

僕もそう思う。

バカの慎也は口車に乗せられれば引っかかるかもしれないけれど、ひろみが言うことを聞くはずがない。

「うーん、真相は闇の中ってか。」

「そうだね。まだよくわかんないのに、決めつけちゃ駄目だよね。」


「そうそう。うし、早く書き終わったことだし、早く部活にでも行こうぜ。」

そういって僕は走り出した。

「ちょっとまだ印刷は終わってないよ。」
< 64 / 88 >

この作品をシェア

pagetop