秋空
次の日になっても慎也とひろみは僕たちと話そうとはしなかった。

里穂も表立った行動はない。

悶々とした日々を過ごし、遂に本番一日前になった。

「今日も話してくれなかったね。」

愛花が寂しそうに言う。

ここ数日の間にかなり元気をなくした。

「そういえば、今日僕たちの伴奏練習日だよね。明日本番だから、早めにこれ終わらせて音楽室行こうぜ。」

そう言って僕は机に乗っているおたよりの現行を指さす。

「そうだね、明日がんばらなきゃ。」

必死に元気な振りをする愛花の姿が目にいたい。

それから数分後。

「できた。」

みんなの意気込みだけを集めた、特大号が完成した。

「じゃあ、行くか。」

「あっ、ちょっと。」

愛花の手を引っ張って僕は走り出した。
< 65 / 88 >

この作品をシェア

pagetop