サヨナラを告げるくらい
「おかえりー、あ。美歩ちゃん!?」
「こんにちわー。」
「こんにちわ。ゆっくりしていってね。」
「あ、はい。どーもです。」
「・・・・・・。」
もう少し見慣れてしまった有里ママの呆れ顔。
いつもいつも「ゆっくり」と言うくせに、「そろそろ」帰ったらと口を濁しながらゆっくりされる事を嫌がる。
それが大人。
だけど、それも別に気にならないから。
私には、いけない事をして生きている自覚が無かった。
だって美野里と葉月は言ったから。
『同性愛を理解するのに一番苦しむのは本人達だよ。』
『好きになった事を後悔するくらいなら死んで生まれ変われるのを待てよ。とか思う。』
『みぃに告白してきた女の子達は皆泣いてたけど、振られても【嬉しい】って言ってくれた。それが、【本気で好き】の意味だろ。』
2人はただ、同性愛を理解してるだけ。
普通の人。
私の事も、知らない。
そんな風に言ってくれる人がいるから、悪い事だと思わないんだ。
きっと。