恋愛ブランク






「なに」


「俺、愛子さんに聞きたくてここに来たんスよ」


「だから、なにを」


「もうあんたには、信じられる人はできたんスか?」


その言葉を聞いて、すごく動揺した。なんで、こいつがそれを知ってるんだ。


掴まれた腕を乱暴に振り払い、後ずさる。上沢くんはさっきとは打って変わり、真剣な表情だ。



「な、んのこと」


「俺、あんたが忘れらんなかった」


「だから、なにが…!」



ドクン、ドクン、心臓の脈打つ音が煩い。彼は真っ直ぐ、射抜くようなような目で口を開いた。



「愛子さん、あんた俺を信じてみない?」



…馬鹿みたい。





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