恋愛ブランク
急いでローファーに靴を履き変え、雨が降ってるのも構わずにグラウンドを駆けた。膝に手を付いて、びしょ濡れのジャージ姿の上沢くんに近付く。
「……馬鹿じゃないの?!一週間で変わるわけなんてないじゃない!」
「あ、愛子さん。ちース」
「こんな雨の中、…ただの口約束ごときの為に!」
「…うるさいっスよ。今練習してんだから」
馬鹿みたいに叫ぶ私に動じず、上沢くんはまた走り出そうとする。
私は上沢くんの腕を掴んだ。
「ねえ、愛子さん」
「…………」
「なんでそんな、泣きそうな顔すんの」
「…してない」
雨だ、雨の雫が涙に見えるんだ。私の今のどうしようもない、わからない感情も、彼の視線も、私を泣かせる材料になんてなるわけがないんだから。
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