恋愛ブランク




「…っ痛ー…」


…誰かが私のパイプ椅子にぶつかったみたいだ。だけどそれ以前に周りのクラスメイト達は、入学式だということを忘れてきゃあきゃあ騒いでる。だけど、それもそうか、今が調度新入生の退場だから。



「上沢くん来たよ!」


「うわー!イケメン!」



うるせー…、また溜息が出そうになるのを我慢して、顔を上げたら調度よくみんなが騒いでる理由が、うちのクラスの横を通った。



「…かみさわ、ゆうじん」



思わず名前を呟いてしまった。なんて整った顔をしてるんだ、…黒い短髪に口元の黒子が印象的で、多分今まで見てきた中で一番きれいな顔してる。


だけど、その蚊の鳴くような声に反応したのかわからないけど、上沢優仁と目が合ってしまった。





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