【短編】好き。2

☆★☆


沙耶から事の真相を聞いたあたしは思ったことがひとつ。


ずれてる。確実に、ずれてる。


あたしが倒れたことをまず心配しようよ。

男の子があたしの体を揺すっていたことにキレる前に。


……とかなんとか言いながら。


あたしは嬉しくて笑っていた。



「じゃあ、あたしも宣言する。翔平に色気使うの禁止。ついでに告白……するのはいいや」



そう言うとみんな

“え”

といった顔をして。



「告白できない辛さは十分知ってるから」



翔平にずっと“好き”だと言えなくて。


辛かった。


臆病な自分が、辛かった。
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