【短編】好き。2
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沙耶から事の真相を聞いたあたしは思ったことがひとつ。
ずれてる。確実に、ずれてる。
あたしが倒れたことをまず心配しようよ。
男の子があたしの体を揺すっていたことにキレる前に。
……とかなんとか言いながら。
あたしは嬉しくて笑っていた。
「じゃあ、あたしも宣言する。翔平に色気使うの禁止。ついでに告白……するのはいいや」
そう言うとみんな
“え”
といった顔をして。
「告白できない辛さは十分知ってるから」
翔平にずっと“好き”だと言えなくて。
辛かった。
臆病な自分が、辛かった。