【短編】好き。2
それに…―――
「翔平はあたしが好きだからね!」
さっき、わかった。
翔平はあたしをちゃんと好きなんだって。
これからも、ずっと。
翔平はあたしを愛してくれる。
そう、信じている。
まず信じなきゃ、何も始まらない。
疑ってばかりじゃキリがないもん。
それに、
あたしは翔平が好きなんだから。
それだけで、
この気持ちだけで十分――
―――幸せ。
「予定変更。綾、帰るぞ」
「え?」
「ほら!」
差し出された手をあたしは駆け足で握り、ニッと笑って見せた。
そして走り出す。
大切なのは想い続けること。
“好き”
そう伝え続けること。
「好きっ……!!」
≪おしまい≫