嘘つきな恋
「何で、“ヤキモチ”?」
ヤキモチを妬いたからって、何も……。
「空ちゃんは、ヤキモチ妬いたこと。ある?」
知沙のその優しい問いかけに。
いつも誰にでも向ける、涼太の笑顔を思い出した。
「……あるよ」
あの醜い、真っ黒な気持ち。
泣きたくなるくらい、嫌な気持ち。
自分がこれ程にも、不完全な人間なのかと。
自己嫌悪に陥るような。
あれはきっと、“ヤキモチ”だったんだ。
「…ヤキモチなんて、いいもんじゃないよ…。」
あんな気持ちは、絶対涼太には似合わない。
知らないままで、いてほしい。