嘘つきな恋




「そう?あたしは良いと思うけどなぁー」


伏せていた顔を上げれば、知紗はまた優しい笑顔。


「…どうして?」


分からない。

全然良くない、気持ちになるのに…。



「“ヤキモチ”って…“好き”っていう気持ちだと思うの」

「え?」


真っ直ぐ、晴れた空を見上げる知紗は。

大人のようで。

可愛い、じゃなく、綺麗。



「その人が、好きすぎて。

大好きだから。

自分だけのものにしたいって。

あなただけのものにしてって。

そういう独占欲の表れなんだ。

仕方ないよ。

だって、好きなんだもん。」




< 113 / 146 >

この作品をシェア

pagetop