嘘つきな恋




あたしの目を見た知紗は。


「空ちゃんが、りょーちゃんを大好きだからだよ? 悪い気持ちなんかじゃないの!」

「…好き、だから?」



“好き”という一言を。
言葉にする度に、心がふわっと温かくなる。


「そう、好きだから!そりゃ、妬きすぎはダメだけどさぁー。乙女心も、恋も、難しいんだもんね。」


はぁー、と知紗は溜め息を吐いた。


あたしは、いつかの涼太を思い出していた。

『…やきもち妬いた…』



あの時、涼太は力なく笑っていた。

だから、少しだけ素直になれた。


だって、嬉しかったから……。

“ヤキモチ”妬いてくれたのが……。




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