嘘つきな恋




それだけで知紗がどんなに心配してくれているのか分かった。


「…いや、もういいんだよ…。あたしが言い出したんだしさ。ほら、今から来てくれる人にも悪いから、こんな話はやめよ…?」


あたしが小さく笑って言うと。知紗も少し悲しげに笑い返してくれた。

「…そうだね」



―――そうだよ。


涼太のことを考えながら。

他の人と過ごすなんて、その人に失礼すぎる…。


……だから、今日だけでも涼太のことなんか、絶対忘れてやる。


絶対、絶対っ!

もう涼太なんて、
知らないんだから…っ…。




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