嘘つきな恋
そんなことを考えて、ぼーっとしてたあたし。
「宮下さぁ~ん」
けど、不意に呼ばれた自分の苗字に、あたしは振り返った。
そこには上目遣いで、あたしの顔色を伺う女の子がいた。
誰だっけ、この子。
「今日、数学の課題があったじゃん?宮下さんの見せて……」
「いや」
あたしは最後まで聞かずに、言葉でその子を突き放した。
そして、そのままあたしはうるさい教室を抜け出した。
あたしなんかの機嫌を見るなんて、バカじゃないの?
あたしがやって来た課題を見せろなんて、バカじゃないの?
きっと今頃、教室ではいつもみたいな会話がされているだろう――。