嘘つきな恋
あたしは椅子から立ち上がって、涼太の左側に移動する。
そして横から問題を除き込む。
「しょうがないなぁー…」
手伝ってあげましょう、仕方ないから。
「この文はさ、……」
手が少し近いけど、気にしないフリ。
声が震えてしまいそうだけど、気にしないフリ。
問題に集中したフリ。
気にしたら、負けだ――。
気にするな、あたし――。
「……だから、答えは――」
「分かったっ!!3だろっ!?」
バッと上げた涼太のうれしそうな顔が。
息がかかりそうなほどに近い――。