もうひとりの…
一学期の分をだいたい読み終わった私は、彼女の日記に驚かされるばかりだった。ろくに話をしたことがなかった私たちの間に、見えない何かを感じることができるのだ。

(あの子にとって私って、そんなに睨みを利かせてたの?)

私は、つい苦笑いを浮かべていた。

確かに、私は芸能人の卵であった彼女に、チヤホヤしたことなどなかった。心を閉ざしている人に自分を許せるほど器用ではなかったからだ。

しかし、二人を繋ぐその"何か"にもっと早く気付けていれば、彼女の運命は変わっていただろうか?

彼女も、私を自分に重ねている。だから私に声をかけた。心を救ってもらえると、思ったのだろうか。



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