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「お客さん?」
「えっ?」
「なんかさ、気難しい顔してるからさ、誘われた?」
「違うよ!と、友達」
“友達”そういう言葉で片付けてしまった自分に少しだけ腹が立ちながらも、
咄嗟にでも“お客さん”と言い切れなかった自分はその言葉を自然と拒否していたんだろう。
沈黙……
やっぱり好きになれない空間。
それが男であっても女であっても
それなのに、なぜだか一向にあたしの口は開こうとしない。
思考回路は全て、飛翔くんに持っていかれている。
その時、静かな車の中でバイブの音が響く
あたしの手の中で鳴りだしたその音を、素早く止めてはメールを開こうとすると横から視線を感じた。
千秋は何かを確信したかのように頬笑むと、また前を向いて運転に集中したいるふりをしている。
そんな千秋の行動を気にする暇もなく、あたしは黄色いランプが知らせてくれたメールを開けた。
《そっか……》
そんな飾りもなにもない殺風景なメールを見て、なぜだか心が締め付けられすかさず返信ボタンを押した。
《もしかして、まだ外にいたりして……》
《いたりする……》
ーー送信しましたーー
その画面が消える前に左上にメールマークが点滅し始め、そのメールを見て飛翔くんがあたしを待っていてくれたのだろうと思った。