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「やっぱり好きなんでしょ」
「うん……」
えっ???
「いや、ちが……っ」
そして千秋のストレートな言葉に自分の気持ちをのせてしまった
はっ!!と顔を上げて千秋の方に目をやると、さっきまで疑いをかける眼差しをしていたのとは逆に真剣な表情をしてあたしを見つめていた
「いいと思うよ?好きになった事に間違いなんてきっとないはずだから」
それだけ言うと「じゃあね!」と笑顔で車を降りて、振り向きもせずに帰って行った。
「千秋……ありがと……」
聞こえるはずもないのに、小さく呟いた。
あたしと千秋の家のは近い、それでもわざわざあたしの駐車場に車を停めてくれた。
『いいと思うよ?好きになった事に間違いなんてきっとないはずだから』
間違いじゃない。
そう言われてしまったことに、なんだか複雑な気持ちで
正直……
まだ、どこかで、この気持ちは錯覚なのかもしれないと言い聞かせている自分もいたりして
だけど、千秋の言葉は、あたしの気持ちを確信づけるような言葉だった。
「間違いなんだよ、千秋……」
あたしの腰は重く、車から降りる気配なんてさらさらない。
バッグの中から、飛翔くんのメールを知らせる黄色いランプが点滅している。
ため息を吐きながら、それを取り、開くと《少しでも逢えるかなって期待してた…》そうまっ白い画面に飛翔くんの気持ちが綴られていた。
きっとあたしは間違えてしまった。
そう、好きになってはいけなかった。
飛翔くんの言葉を見て、目頭が熱くなっていくのが分かる
あたし達は、逢いたい時にさえも逢えない関係
たとえ、飛翔くんがあたしを待っていてくれたとしても、飛んでいくことさえも出来ない。
感情を持ってしまった代償に、これからその相手を傷つけてしまうことになる。
自分の好きが相手を苦しめることになるなんて、きっと飛翔くんに出逢わなければ知ることさえもなかっただろう。