~color~


「お疲れ様です」


そう従業員と店長に言うと、駆け足で駐車場へと走り出した


“あの人より先に駐車場に出なきゃ”



大貫さんが、まで店の外でボーイと話し込んでるすきを狙って飛び出した。


車に乗り、一息つく暇もなくエンジンをかけアクセルを踏み込む



駐車場が見えなくなった瞬間に大きなためいきと共に、携帯を開いた。




《終わったよん、もう寝てる?》



逢いたい……

今すぐにでも……


逢っておもいっきり抱きしめて欲しい



“送信しました”の文字を見つめながら願い続けた。




あたしのずっと秘められてきたものが張り裂けそうになって


飛翔くんを酷く求めている



心が……

寂しいって




体が……

飛翔くんの温度が足りないと求め続けている。



逢えることを信じて、窓を開け風を感じながアクセルの踏む力を弱めた。



夏の夜の風の匂い……



それが懐かしさを感じさせてくれる



きっと、あたしが幸せだった頃と同じ風を感じている。




やっぱり、夏が好き




そして、これからは毎年この季節が来るたびに



飛翔くんと出逢えたこの季節さえも愛おしく思えるのだろう。





たとえ、離れてしまったとしても……

< 136 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop