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「お疲れ様です」
そう従業員と店長に言うと、駆け足で駐車場へと走り出した
“あの人より先に駐車場に出なきゃ”
大貫さんが、まで店の外でボーイと話し込んでるすきを狙って飛び出した。
車に乗り、一息つく暇もなくエンジンをかけアクセルを踏み込む
駐車場が見えなくなった瞬間に大きなためいきと共に、携帯を開いた。
《終わったよん、もう寝てる?》
逢いたい……
今すぐにでも……
逢っておもいっきり抱きしめて欲しい
“送信しました”の文字を見つめながら願い続けた。
あたしのずっと秘められてきたものが張り裂けそうになって
飛翔くんを酷く求めている
心が……
寂しいって
体が……
飛翔くんの温度が足りないと求め続けている。
逢えることを信じて、窓を開け風を感じながアクセルの踏む力を弱めた。
夏の夜の風の匂い……
それが懐かしさを感じさせてくれる
きっと、あたしが幸せだった頃と同じ風を感じている。
やっぱり、夏が好き
そして、これからは毎年この季節が来るたびに
飛翔くんと出逢えたこの季節さえも愛おしく思えるのだろう。
たとえ、離れてしまったとしても……