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助手席に無造作に置かれている携帯のランプが黄色に点滅し始めている。
“飛翔くんだ!!”
急いで携帯を持つと受信が完了するのを待っていた。
《今、中西達と飯食ってた!!今から戻る!!》
《飛翔くん今どこ?》
1分でも1秒でも、早く逢いたくて飛翔くんからのメールを待っているあたしがいる。
《店の近くだよ、流奈は?》
そのメールを見ながら一瞬だけ大貫さんから逃げるように違う方向に向かっていた事を思い出しながらも、今いる場所を正直に入れたらきっと変に思うだろうと想定して嘘を付こうとしている自分がいた。
《店でる所、ねぇ?飛翔くん……逢いたい》
《俺も逢いてえーよ、流奈が平気なら、いつもの所に来て?待ってるから》
そのメールと共に、あたしは来た道を戻ろうと、再びアクセルを強く踏んだ……。
窓を閉めながら、すれ違う車にビクビクしてしまう。
大貫さんの車をあたしはまだ知らない。
飛翔くんと一緒にいるところを見られたりしたら……
考えるだけで恐ろしくなりながらも、あたしは秘密のばしょへと急いだ。
あたし達の秘密の場所。
ここを左に曲がれば……
その瞬間でさえも、前から照らされるライトに脅えウインカーを出すどころか、ハザードをつけ止まってしまった。
この車が行ってから曲がろう……
バックミラーにも車が映らないことを願いながら深呼吸をした。
“今だ……”
勢いよく左に曲がると、そこには飛翔くんの車が止まっているのが目に入った。