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「飛翔くん!!」
車をちゃんと上手く止められたのかなんて分らない。
降りた瞬間に、優しく笑って立っている飛翔くんの胸の中へと飛び込んだ。
「逢いたかった……」
凄く逢いたかった
この大きな胸の中で包まれたいと思ってた。
「流奈……」
「さっき逢ったばかりなのに逢いたくて……」
たった数時間、たったそれだけなのに、あたしの心も体も、飛翔くんを求め続けて……
凄く苦しくて……
「俺だって同じだよ」
その言葉に胸から込み上げてくるものがあり、離れることが、こんなにも苦しく怖いものだということを感じた日……。
飛翔くんが力いっぱいあたしを抱きしめてくれている
そして、あたしも力いっぱい飛翔くんにしがみついた。
きっと、あたしだけじゃない……
飛翔くんを苦しめていることだって分かっている。
だけど、こうして一生懸命
苦しさも、辛さも、寂しさも、悲しさも一生懸命、必死に埋めようとしているんだ……
“愛”
きっと、そんな表現ではもう物足りないだろう……
静かなこの場所で、
あたしの耳に入ってくる音は飛翔くんの心臓の音……
ドクンドクンと聞こえる音に、あたしの心臓の音も負けないくらいに速くなっていく。
顔を上げると、飛翔くんがあたしを見下ろし、照れくさそうに微笑んだ。