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「あっ!!そうだ♪」
「どした?」
「流奈さ飛翔くんのライターぱくってたよぉ~店で気づいた」
「なんだ、ライターなんていらねって!!」
「じゃぁ、も~らった!!」
ライターなんかじゃない。
あたしにとっては、大切な宝物だ。
ギュッと握りしめるとバッグにしまった。
「じゃぁ、俺も、も~らった!!」
「えっ?なにを?」
「ほれ……」
差し出された手の平に、あたしのピアスが1つ……
『ピアス1つないよ?』
『どこで落としたの?』
『で、誰かとでも一緒にいたの?』
さっきの大貫さんの言葉が浮かぶ……
それと共に全身に鳥肌が立っていく……。
飛翔くんを見ると“ほれっ”と前に手を差し出している。
「あーっ!!なんで?」
「落し物~!!」
「探してたよ」
「ちょっと借りてた」
「ありがと★」
「いや、返さないよ!!」
「だって、ピアスなんて……」
「だよな……」
少しだけ寂しそうな顔をした翔クンにあたしは笑いが止まらなかった。
「今度、冷夏がおまもり作ってくる♪」
「おまもり?」
「そう♪おまもり!!」
飛翔くんが何か身に着けられるものを作ってこよう!!
そう思い、首をかしげている飛翔くんに抱きついた。