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それから、毎日あたしとつばさくんのメール交換の日々が続いた。
そう、営業メール。
そう何度も自分に言い聞かせながら、沢山の嘘を重ねながら、自分を偽り続けた。
昼間は誘われないように、バイトをしていること。
子供のことも旦那がいることも全て隠し、毎晩、毎晩、仕事の合間も、休みの日はお互いが眠りに落ちるまで
まるで、それが日課になってるように、いつからかつばさくんとのメールで1日が始まり、つばさくんとのメールで1日が終わった。
だけど、そんなやり取りが続けば続くほど、つばさくんの質問攻めは日々増していた。
《どこに住んでるの?》
そのメールにあたしは素直に返信をした。
《近くにいたんだね!ずぅと地元?》
《そうだよ》
《じゃ、隣の中学じゃん~!!》
そのメールが入って来たときに、あたしの手は返信ボタンを押すことを躊躇った。
隣の中学の1個上?
あたしの頭の中で、どんどん過去にさかのぼっていく。
繋がってしまうかもしれない。
自分が誰だか分かってしまうかもしれない。
ただただ、それに脅えて、メールを返信できずにいる。
その瞬間に、封印していた過去が一気に甦ってきて、あたしは締め付けられてく胸に苦しくなり、洋服をギュッと握った。
《おーい、俺、なんか悪いこと言った?》
メールが止まったのを気にして、連ちゃんで送ってきたメール。
その宛先の〝つばさくん”という文字をみるなり、頭を抱え携帯を閉じた。