~color~
「これ、4年前の俺なんだ」
立ち上がり1つのコルクボードに貼ってある写真を見ていたら飛翔くんがやっとあたしの傍に近付いてきた。
「ハタチってこと?若い~!!あんまり変わってないけど」
その時、一瞬だけ前に話していた女の人の話を思い出した。
あれは3年前……
この後に飛翔くんは、今のあたしと同じような恋愛に出会ったのか……
過去のことなのに、過去の写真の飛翔くんを見てなんだか複雑な気持ちになりながらも
頭から散るように必死に思考回路を止めようとしている。
逢っている時に悲しい顔なんかしたくない
「でも変わらないね、飛翔くんかっこいい!!」
あたしはそのまま飛翔くんにおもいっきり抱きついた。
過去にしたくない
このままずっと飛翔くんと離れたくない……
強くしがみつくと「びっくりしたぁ~!!」なんていいながら、あたしを抱いた腕から力が抜けた。
「どうした?」
「なんでもねぇ~よ」
そっとあたしから離れるとテレビのリモコンを取りスイッチを入れた。
あたしは再びベッドの前に腰を下ろすと、ベッドにあった掛け布団を借りて包まった。
飛翔くんの部屋の温度は車の中よりも全然寒い
寒がりなあたしに気をつかって、暑がりな飛翔くんが設定してくれる温度はきっと飛翔くんにはとても暑いだろう。
それでも今ここで、いつも飛翔くんが感じている温度が感じられたことが嬉しくて顔が緩んでしまうのが自分でもよくわかった。
このまま止まって欲しい……
世の中の時間が止まってしまったら、あたし達はこのままずっと一緒にいられるのだろうか。
テレビの近くに立て掛けられている時計が悲しくも時間を刻んでいる。
テレビを見ているふりをしながら、あたしの視線は時計に向けられていた。