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「うわっ!びっくりしたぁ~!!」
時間とにらめっこしていたあたしは後ろからいきなり抱きついてきた飛翔くんに体がビクンと反応した。
「……」
「飛翔くん…?」
あたしが包まっている布団が少しだけあたし達に距離を作り邪魔している。
それでも分かる、飛翔くんの強い力を感じる……。
「苦しいよぉ、どうした?」
力が弱まったと同時に、包まっていた布団を飛翔くんにもそっとかけた。
「ありがとう、流奈……」
いつも不安に脅えているんだ
一緒に時間を過ごしていても
離れた時の苦しい時間を知っているから
辛さや悲しみを……
静かになった部屋の中で時計の秒針の音だけが聞こえる
唯一騒がしかったテレビの音さえも今は耳には入ってこない。
もう飛翔くんに逢ってから1時間以上も経っているんだ……
あたしはそっと飛翔くんからはなれ、立ち上がると「流奈…!?」と後ろから声が聞こえたが振り向かなかった。
夢の空間かもしれない
現実を見つめることから目を反らしていたあたし達……
それでも、今だけは何もかも忘れて一緒にいたい。
立てかけてある時計に手を伸ばすと、それを抱えた。