~color~
灰色


「もう~!!!嫌だってば!!!」


気がついたらあたし達は、布団の取り合いをしていた。


テレビを一緒に見ていた時に飛翔くんが「流奈のタイプじゃねぇ?」なんて俳優さんを指差すもんだから「よく分ったね」って答えたのが原因。


くだらないことで、嫌がらせのようにクーラーの温度を下げ始めた。



「これ、俺の!!」

「じゃあ、温度上げてよ!!」



「あちぃーの!!」


そう言いながらも、本当にふてくされている飛翔くんを見て


“飛翔くんが1番だよ!”なんて言ってあげても良かったが、少しだけ意地悪をすることにした。



「もう、暑いなら布団かけなきゃいいじゃん」



いじけてるように見せながら、勝ち誇った顔をして布団を掛けている飛翔くんから「すきあり!!」なんて簡単に奪い取り寝転がっり力いっぱい抱えた。



「この野郎!!」



“えっ……??”



「あっ……」


その瞬間、あたし達は目が合いどのくらいの時間か分からないが固まっていた。


飛翔くんがあたしの上に負い被さる、一枚の布団があたし達の間に入っているものの、


あたしの心臓はどんどん速くなり気がついたら飛翔くんの唇があたしの唇に重なった。


いつもと違ういやらしいキス………


静かに目を瞑ると、あたし達の間にあった布団がそっとなくなった。





こうなる日が来ることがあるかもしれない



そんなことは分かっていたはずなのに、怖い……



「流奈……」



「んっ??」



目を開けると、飛翔くんの綺麗な瞳があたしを映している……


飛翔くんの綺麗な体が、あたしの上に被さっていて……




「ちょっと待って!!」


あたしの服に手がかけられた瞬間に咄嗟に振り払ってしまった。


“あっ……!!”


あたしは、自分の行動にもびっくりして飛翔くんの真っ直ぐな瞳から目を反らし口元に手を当てた。



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