~color~
全てがよみがえってきていた。
静かな部屋の中で、あの時の無残な姿が塞ごうとしていた片隅から出てこようとしている。
どうして、こうなってしまったのだろう……
大好きな人には触れられることを恐れる体になってしまった。
本当は1番触れてほしい人なのに……
「流奈、ごめん」
体が温かくなっていく
飛翔くんの体温を感じられる… …
「ううん、嫌だった訳じゃないんだよ??」
「分かってる」
そう嫌だった訳じゃない。
ただ、その純粋な瞳があたしの過去まで覗いてしまいそうで
あたしの心にささったんだ。
好きになればなるほど
愛すれば愛するほど
あたしの何かが邪魔をするんだ
まるで
幸せになることが許されないかのように。
「愛してるよ、飛翔くん……」
「俺も、もう離れたくない……」
結局、あたしはまた飛翔くんに悲しそうな顔をさせてしまった。
あたしは……
もう飛翔くんの傍にいることさえも許されないのだろう。
タイムリミット
これ以上あたしは
飛翔くんの傍にいてはいけないんだよね
飛翔くんの体温で、寒くて冷えていた体が温かくなっているのに
あたしの心はもう、凍っていて割れてしまいそうだった。